チーム固有知識 - を衰退させず、補強する
チーム固有知識(tribal knowledge)は貴重なリソースですが、見過ごされ、最終的には失われてしまうことがよくあります。デジタルツインは、チーム固有知識を取り込み、チーム間で共有するための生きたツールになります。
レシピを少し手直しして、元よりもおいしい料理を作ったことがありますか?でも、その手直しした内容を記録していないと、それを再現しようとしても、まったく同じようにはできません。
御社で同じことが起きたと想像してみてください。御社の最高の社員が、ビジネスのあらゆることに精通し、顧客のすべてを知り尽くし、どうすれば顧客に喜んでもらえるかを知っている場合を考えてみてください。その社員が突然、その知識と経験をすべて持って退職してしまいました。そうなったら、ビジネスはどうなるでしょうか?
チーム固有知識とは?
こうしたシナリオすべてに共通しているのは、チーム固有知識という一般的なテーマです。それは、特定の「チーム(tribe)」のメンバーの脳内と腕に蓄積された非公開の知識です。ゲートキーパーは、このチーム固有知識がチーム外の人々と共有されないようにする担当者です。
チーム固有知識は、料理のレシピだけでなく、データや情報が一元化されておらず、さまざまな部門以外では一般的に共有されていないすべての組織の中でも生まれがちです。チーム固有知識は、付箋紙に貼ったままになったり、メモ帳アプリで紛失したり、記憶の中に埋もれてしまったりします。
組織でのチーム固有知識の例としては、アカウントのパスワード、事務用プリンタの使用方法、問題発生時に連絡する人事部門の担当者など、基本的な知識があります。あるいは、サプライヤやパートナーとの適切な関係の構築、以前のプロジェクトから得られたノウハウや経験、取引上の秘密など、より複雑でビジネスに大きな影響を与える知識もあります。
チーム固有知識の取り込みと共有が必要な理由
1. 未来を守るため。
好むと好まざるとにかかわらず、従業員が永遠に同じ職に留まることはありません。退職や転職、最終的に定年退職することもあります。2021年の米国労働統計局の報告によると、同国の平均離職率は57.3%で、同一会社での在籍期間は約4.6年にすぎません。従業員の離職は避けられないことです。従業員には自分の能力を試して広い世界に羽ばたいていく権利がありますが、得た知識や知恵が失われてはいけません。従業員が常に、作業ファイルを共有ドライブでデジタル化、更新、整理するようにして、退職がより円滑になるようにします。企業によっては、選抜された従業員が現場での経験やベストプラクティスを共有する月次セッションを実施するところもあります。
2.円滑で効率的なオンボーディングを推進するため。
社内プロセスや製品情報を十分に文書化して整理することは、円滑で効率的な自己オンボーディングに役立ちます。前項の要点に戻りますが、退職した社員の完全な業務記録を引き継げば、新規採用者が完全にゼロから業務を開始する必要がなくなるため、時間と労力の大幅な節約になります。強力なオンボーディングプログラムを持つ組織では、従業員の定着率を82%向上させ、生産性を70%高めることができます。一方、オンボーディングの経験を享受しなかった従業員は、近い将来に転職する可能性が2倍高くなります。
3. 適切な情報の検索を速くするため。
従業員が、自分の必要とする適切な情報を持つ最適な人を探そうとして、時間を無駄にすることがあってはなりません。標準的な従業員は、業務の手助けとなる社内情報を探すのに、あるいは適切な人を見つけるのに、勤務時間の20%(または最大25%)を費やしています。大ざっぱに言うと、それは丸々1日分の勤務日以上に相当します。McKinseyのレポートによると、知識の記録が検索可能であれば、従業員が情報検索に費やす時間を35%も短縮できます。
4. 熟練労働者の不足に対処するため。
現場の熟練労働者には、数年間、あるいは数十年間もの経験があります。残念ながら、高齢世代が引退し、代わりに就労する人々が少なくなっているため、熟練労働者はどんどん数を減らしています。製造業では、推定240万人の熟練労働者が不足しています。建設業では、企業の52%が、現場の労働者、大工、設備オペレーターを見つけるのに苦労しており、また28%がプロジェクトマネージャーや監督者を雇うのに苦慮しています。電力業界では、2023年から2028年までに従業員総数の50%が退職する見込みです。技能と経験を保存することは容易ではありませんが、若い新入社員に知識を共有して教育するためのプラットフォームを専門家に提供すれば、適切な方向に向かう一歩となります。(詳しくは、次のセクションをご覧ください)。
5. コラボレーションを促進するため。
知識の共有を積極的に奨励し、従業員にそのような場を提供する企業は、組織全体でチームワークと団結の文化を育むことができます。従業員やチームが、不健全なやり方で競争する、たとえば、限られた昇進のために競争したり、賞やボーナスをめぐって互いに争ったりする必要があると感じるような雰囲気は作ってはいけません。人は、他のチームを犠牲にしても、究極的には会社の利益を犠牲にしても、重要な情報を隠そうとするものです。
デジタルツイン ― 人と情報が仮想世界で出会う場所
チーム固有知識は貴重なリソースですが、手遅れになるまで見過ごされてしまうことがよくあります。これまで、企業がチーム固有知識をドキュメント化するうえで使用するいくつかの一般的な戦略について述べてきました。それは、一元化された検索可能なリソースセンター、知識共有セッション、従業員の離職要件、協力して仕事を行う文化などです。チーム固有知識を取り込む方法については、多くの記事でご覧いただけます。当社はさらに優れたソリューションを提案しています。デジタルツインソリューションがあれば、情報がどれほどより簡単で有益なものになるかを想像してください。
デジタルツインにより、ドキュメント化とトレーニングが、楽しくインタラクティブで没入的な体験になります。
- 情報や文書などを、適切な空間的または視覚的なコンテキストで整理します。― 企業が処理するデータとファイルの量は膨大です。デジタルツインを使用すると、情報を3D仮想空間に空間的に紐づけることで、情報が現実世界と同様にコンテキストに対応したものになります。
- サイトのドキュメンテーションの所要時間を数百時間も短縮します。― ミッションクリティカルな施設自体には、取り込みと共有が必要な貴重な情報が大量に眠っています。しかし、サイト情報をドキュメント化し、手動でパッチを適用するのは膨大な作業です。 Beamoを用いると、写真とメディアを位置情報とともに、インタラクティブな間取り図に直接、自動的につなぎ合わせて、迅速にレポートを作成できます。現場の状況に関する注釈と補足情報のレイヤーを、オンサイトで直接追加できます。
- 知識の継続性を維持します。― 知識ベースを構築し、それを現在および将来の世代の従業員のための、活気のある生きたプラットフォームにします。Beamoでは、各チームが相互に交流し、協力することができます。Beamoは、リモートかオンサイトかを問わず、従業員の交流、タスクの更新、新しい情報の交換、過去の記録の検索、問題の共有、有益なヒントの取得を行うための、デジタルの社交場または交流ネットワークになることができます。
- 没入的なトレーニング環境を容易に使えるようにします。― 新規採用者は、リモートで自己オンボーディングしながら、オンサイト環境を仮想的に体験することもできます。当社の取引企業のレポートによると、研修生の96%が、教材を3Dデジタルツインに配置した方が有益で理解しやすくなると言っています。
さらに、Beamoのデジタルツインソリューションには、情報へのアクセスを可能にし、同時にセキュリティも確保するための強力なエンタープライズ機能が備わっています。ユーザーが(現場およびリモートで)リアルタイム情報にアクセスできるようにし、目的に適うようにします。空間と情報が適切なチームと共有されていることを確認できます。
まとめ
デジタルツインは、チーム固有知識および重要情報のドキュメント化、共有、更新を行い、チーム内およびチーム間のコラボレーションを促進する革新的なソリューションです。また、新入社員のオンボーディングを行う包括的で没入型のソリューションでもあります。
当社の取引企業である大手半導体メーカーが、没入型情報管理のフレームワークとしてBeamoをどのように使用しているかについてご覧ください。
また、別の取引企業である日本の大手航空会社が、Beamoを活用してトレーニングプログラムをどのようにデジタル化しているかについてご覧ください。